週刊誌深読み・皇室典範改定のゆくえ

左右問わないマスコミがこぞって反対する典範改定のゆくえは
木下ちがや(こたつぬこ) 2026.07.02
誰でも

「皇室典範改正案・旧宮家に公統が移る恐れも」(読売)、「皇室典範改正は再考を」(日経)「強行すれば禍根を残す-総意離れた暴走はやめよ」(朝日)。普段は対立しがちな全国紙の社説が、かくも一致して大反対するのはなかなかありません。今週の週刊文春もまた「天皇が旧宮家養子に異例のご懸念を表明された」と、トップ記事で典範改正に否定的な特集を組んでいます。週刊ポストセブンは研究者の対談を掲載、典範改正がこのまますすめば国民の分断がすすみ、象徴天皇制が崩れると警告しています。典範改定を支持しているメディアは、筆者が確認できた範囲では産経新聞くらいでした。

SNSの台頭により「オールドメディア」が弱体化したとはいえども、マスコミがこれだけスクラムを組んで反対の論陣を張れば、世論に少なからぬ影響を与えることが予想されます。論点は宮家との養子縁組の是非から愛子さんの処遇に至るまで多岐にわたってはいますが、先の天皇の「お言葉」とあわせて、「政府が皇室と世論の意向を無視して強引に皇室典範を変えようとしている」というわかりやすい争点が示され、反対の機運が今後広がっていく可能性が大いにあります。

皇室典範改正が推進しているのはいうまでもなく麻生太郎自民党副総裁であり、自身の政治生活の総仕上げとしてこの改正を成し遂げようという意欲が政局を動かしているようです。高市総理誕生の立役者であり、二階、菅といった実力者が引退する中で自民党内の一強となった麻生氏は、乾坤一擲の勝負にでようとしているのです。

今国会はあと半月。会期を延長しない限り、この期間で上程ー衆議院採決ー参院送付ー参議院の可決のプロセスを経なければなりません。時間的にはギリギリの状況のなかで、今後新聞、週刊誌の反対攻勢は強まっていきます。この勢いがSNSに伝播すれば、世論は大きく動き、高市政権の支持率にも影響がでてくるかもしれません。そして麻生氏という「明確な敵」が設定されれば、自民党内にも動揺が広がる可能性があります。

「マスコミの団結」「明確な敵の存在」という、メディアが最大限に影響を発揮できる環境が設定されています。新聞と週刊誌は、この久方ぶりといえる状況で存分に力を発揮することができるでしょうか。この間の政治の不安定化の最大要因のひとつはマスコミの権威の低下にあります。そしてマスコミの権威の低下こそが、政治の劣化と機能不全をもたらしている。ここでマスコミが力を発揮し権威を回復することは、皇室典範改定問題のみならず、政治に民主主義を取り戻す機会になるかもしれません。

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