週刊誌深読み・ポスト高市政権に向けた攻防はじまる・26年4月29日
GWに入ります。今週は二本の記事を記事を取り上げます。
一本目・『週刊文春』高市陣営が流した「進次郎は無能」動画
ここ最近の週刊誌は、高市政権のインサイダーネタを連発しています。とはいえ高支持率は変わらず、政権は安定しているようにみえますが、高市総理周辺からの生々しいリークの連続は、総理の心身に大きな負担を与えていることでしょう。今週もまた、与党内に疑心暗鬼を走らせるスクープを『週刊文春』が打っています。
この記事、昨年の総裁選と今年の総選挙で、高市総理の筆頭秘書の指揮で、相手陣営を誹謗中傷する大量の動画を作成・拡散していたというもの。その数は一日に100から200本に及び、総裁選では小泉進次郎と林芳正、そして総選挙では枝野幸男、岡田克也、安住淳氏ら落選に追い込まれた立憲民主党のベテランたちに対して、誹謗中傷としかいいようがない動画を拡散させていたというもの。
この大量の動画、選挙が終わるとただちに消去されたはずなんですが、記事ではその多くが再現されています。この「誹謗中傷作戦」の内容についても詳細に報じられているのは、実名告白がなされているから。「NoBorder DAO」幹部で、サナエトークンの仕掛け人である松井健氏が作戦の全貌を語っているからです。あまりに稚拙でゲスな動画の内容については、本誌を読んでみてくださいね。
(サナエトークン事件と松井氏、高市総理のつながりについては以下の『週刊現代』のスクープを参照)
昨年の自民党総裁選、今年の総選挙では、SNSの威力が脅威ともいえるレベルに達しました。党内基盤がほぼない高市氏の勝機は、まさにSNSの拡散力にかかっていました。『週刊文春』が取り上げているような下劣な動画を高市陣営が大量拡散していたことは、ただちには違法とはいえないものの選挙の公正さを疑わせます。そして、この松井氏が『週刊文春』にここまであけすけに語るのも異様です。そうはいっても最高権力者である総理大臣を民間人が公然と「後ろから撃つ」ことができるくらいに、高市総理にリスク管理の能力がないということになります。歴代総理のなかで、ここまで身内に裏切られる総理はいないんじゃないでしょうか。今井尚哉参与、麻生太郎副総裁ら、高市総理に不信感を抱く政権中枢から、民間の協力者の松井氏まで、わずか半年の任期でここまで敵を増殖させてしまった高市さんには、総理をつづける力は残っていないのではないか、そう思わせる記事です。そしてそうなると「ポスト高市」の動きに俄然注目が集まることになります。
二本目・進次郎「裏切りカルビ」
この記事は、先の総裁選で高市総理と争った小泉進次郎防衛相が、20日の三陸沖地震の直後にもかかわらず会食に参加し、しかもそこに総裁選で小泉選対をつとめた岸田元総理、木原誠二氏が同席していたという呆れ果てた与党内の緩みっぷりを取り上げたもの。これについては『週刊文春』電子版が25日にすでに報じています。
地震にもかかわらず岸田、木原両氏と進次郎が会食に臨んだのは、高市政権がそう長くはつづかないと彼らが見通し、来るべき総裁選にむけた準備のためでしょう。ところがこの会食が裏目にでて、進次郎はつまづくことになります。進次郎陣営のわきの甘さは昨年の総裁選の「ステマ疑惑」につづくものです。(https://bunshun.jp/articles/-/82600)
他方で同じ記事では、先の総裁選で立候補した林芳正総務大臣は、地震直後に予定されていた会食をキャンセルしていたことが報じられています。記事は「進次郎サゲ、林芳正アゲ」になっているわけですが、進次郎を推す岸田、木原氏も、林氏も同じ宏池会という派閥のメンバー。そもそも昨年の総裁選で同じ派閥であるにもかかわらず割れたことが高市総理誕生をアシストしたわけですが、この派閥内の「内ゲバ」が今回の会食のリークがなされた原因かもしれません。
来るべき総裁選にむけて、宏池会が内ゲバに走る一方で、キングメーカー麻生副総裁は茂木外相を担ぐべく着々と陣地を広げている。高支持率のままの退陣の可能性という前代未聞の状況下で、自民党内の権力闘争の蠢動の一端を垣間見せる今週の『週刊文春』でした。
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